「デザイナーのための印刷研究所」に寄せられた 印刷・加工に関する質問を、
シンプルにわかりやすく解説する【印刷相談窓口】。
今回は、折り加工で折り目がガタガタになってしまった 方からの質問です。
Q.
二つ折りのパンフレットを作ったんですが、以前作った時と比べて折り目が少しガタガタした仕上がりでした。使った用紙の銘柄も同じなのですが…考えられる原因はありますか?
A.
使用した用紙の厚さも同じで折り加工方法も同じ場合、紙目が逆になっていた可能性があります。 印刷物の使用用途や加工によって、紙目はきちんと考える必要があります。
解説
折り加工がある印刷物はチラシ・パンフレット・ 招待状・往復ハガキなど様々な製品があります。普通折り目はピシッと綺麗に折られていて当たり前だと思われますが、用紙の種類・用紙の厚さなどによって、工夫をしないと綺麗に折れない場合があります。
その原因が、今回ご説明する【紙目】によるものです。
紙目とは
紙には【目】があるのをご存知ですか?紙目、紙の流れ目、などと言われますが、紙を抄造する際にできる繊維(パルプなど)の流れる方向のことを指します。
紙目は、 縦目(T目)と 横目(Y目)で区別されます。印刷用に断裁された用紙の長辺に沿って平行に繊維の流れ目がある紙を縦目(T目)の紙、長辺に対して垂直に繊維の流れ目がある紙を横目(Y目)の紙といいます。
紙目による影響
紙目に対して、紙は 平行に折りやすく ・ 曲がりやすく ・ 裂けやすい性質があります。折り加工を綺麗に仕上げるには、紙目と折る線が平行になるようデータを面付けし、印刷する必要があります。良い印刷物を作る上で紙目はとても重要なのです。
上の図のように、二つ折りのパンフレットを折り加工を考慮して印刷する場合、紙目に合わせることで1枚の印刷用紙でつけ合わせることができる面数が変わってしまうので、注意が必要です。
ちなみに折り加工があるものに関して、様々な条件で紙目を合わせることができないものや用紙に厚みがあるものに対しては「スジ押し」という加工を事前に施してから折ることで、問題を回避することができます。
スジ押しはメジャーな手法ですので、厚手の用紙で折り加工がある製品の多くはスジ押しをしてから折っています。
紙目による影響(製品別具体例)
❶ 折り加工の場合
折り加工する事を考えて紙目を考慮しな
いと、紙を折る段階で割れてしまったり、折りズレが起きてしまったり等、不良の原因になる場合があります。
❷ スタンドPOPの場合
スタンドなどに立てて入れるチラシやパ
ンフレットなどの場合、立てた時の上側のラインと紙目が平行だと、“くるっ” と丸まりやすくなります。
❸ 封筒の場合
紙目に逆らって折ることによりキレイに折れない場合、それによって糊つけ部分にもシワがよるなどの弊害が生まれる場合があります。
❹ 本や冊子の場合
紙目が背と平行でないと折りが綺麗にならないことは先述しましたが、ページのめくりやすさにも影響します。紙目に平行だと、丸まりやすいのでめくりやすくなります。
折り加工の紙目別比較
実際に紙目別に紙を折ってみました。下の画像をご覧ください。
印刷・加工・用紙に関するご質問・お悩みなどがありましたら、
お気軽にお問い合わせください
● 印刷に関するご相談・資料請求 は こちら
● 簡単!印刷見積もり依頼 は こちら