「デザイナーのための印刷研究所」に寄せられた 印刷・加工に関する質問を、
シンプルにわかりやすく解説する【印刷相談窓口】。
今回は、インキの光沢感 にお悩みの方からの質問です。
Q.
紙の風合いを生かした印刷をしたいのですが、印刷した部分に光沢が出てしまいます。そもそも、紙に薄くインキがのっているだけなのに、なぜ光沢が出てしまうのですか?
A.
印刷をする際、インキが用紙に付着し硬化(乾燥)する過程で、インキが平滑になる「レベリング」という現象が発生します。これによって、印刷箇所が光沢を帯びて見えます。
解説
印刷で用紙の風合いを生かしたい。
そのような案件の場合、いかにも「印刷しました!」というようなインキ(インク)の光沢感があると、せっかくの風合いが台無しになることがあります。
どうしてインキをのせるだけなのに印刷面に光沢が出るのか?これは、印刷をする際にインキが用紙に付着し硬化(乾燥)する過程で、「レベリング」という現象が発生するからです。
「レベリング」とは液体のインキが用紙に付着した後、その流動性に伴って平滑性を得る現象のことをいい、これにより表面が光沢を帯びて見えます。
印刷面の見え方
インキの表面のレベリングが良く平滑だと光沢度や彩度が上がり(グロス感)、インキの表面のレベリングが悪く凸凹していると光沢感は抑えられ彩度も落ちます(マット感)。
インクジェットプリンターの場合
インクジェットプリンターで一般的に用いられる粉末トナー・水性トナーのうち、水性トナー(液体)は上記の原理(液体の流動性)で光沢が出ます。粉末トナーの場合はトナーが紙に付着(ノズルで噴射、静電気など)した後に熱を与えて溶かし、硬化させます。この溶かす時に瞬間的に液体になり「レベリング」が発生するので、表面が平滑性を得ることによって光沢を帯びて見えます。
オフセット印刷の場合
オフセット油性印刷では、ブランケットに乗っているインキが用紙に転写される際に、インキがブランケットから引き剥がされて尖った形になります。それがインキの流動性に伴って平滑性を得て光沢を帯びて見えます。
ただ、オフセット油性印刷の場合はインキが用紙に染み込むため、インクジェットプリンターのようなトナータイプのものよりは、用紙の風合いを損いにくい傾向にあります。
※光沢を出さないことが用紙の風合いを損なわないことには直結しません
印刷面に光沢を出さずに印刷する方法
先述したように通常のインクジェット印刷もしくはPOD印刷のトナーではレベリングがあるので、仕上がりにどうしても光沢感が出てしまいます。これらで光沢を出したくない場合、トナーをマット仕様のもので代用する方法があります。
(マット仕様のトナーに対応しているかは各印刷所にお問い合わせください)
オフセット印刷の場合、インキが用紙に染み込むため、印刷の中では比較的光沢感は出にくいです。刷り方などでも調整できる場合がありますのでご相談ください。
印刷表現についてお困りの場合、様々な条件、作成部数などによっても最適な印刷手法は変わってきます。まずは制作案件について詳細をお伺いし、テスト印刷を含めたご提案ができたらと思います。
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