「デザイナーのための印刷研究所」に寄せられた 印刷・加工に関する質問を、
シンプルにわかりやすく解説する【印刷相談窓口】。
今回は、耳付きの手漉き和紙に印刷をしたい 方からの質問です。
Q.
耳付きの手漉き和紙に印刷をしたいと考えています。おすすめの印刷方法はありますか?
A.
耳付きの手漉き和紙は、一般的な印刷では様々な制限がありコストも多くかかる場合があります。 仕上がり・コストのバランスが良いもので、フラットベッドタイプのインクジェット印刷を提案します。
解説
風合いが美しく、日本古来の伝統紙として親しまれ愛されている耳付きの手漉き和紙ですが、そこに印刷をするとなると少々難しい問題が出てきます。
手漉き和紙の印刷では、印刷する過程において印刷機内に“紙粉”が溜まってしまったり、印刷機で紙を送るための空気が抜けてしまう“エア抜け”などが起こりやすいなどの理由で、印刷することが難しくなります。それを回避するためには印刷機や印刷資材で特別に調整する必要があるので多くの時間を要しますし、その分コストもかかります。
また耳付きの手漉き和紙は、その耳が邪魔をして印刷機に入らないことも。
そこでフラットベッドタイプの印刷機を使った耳付きの手漉き和紙印刷をご提案し、進行することにしました。
フラットベッドタイプの印刷機
フラットベッドタイプの印刷機とは、印刷する用紙などを平らな台の上に置き、出力ヘッドがその上を動いて印刷をしていく印刷機です。機種にもよりますが、対応サイズも大きく、厚みも数十mmまで対応しているため、例えば街中の看板用出力も貼り合わせることなく一枚で印刷することが可能です。
耳付き和紙印刷工場へ
今回、フラットベッドタイプのインクジ
ェットプリンターをお持ちの佐川印刷株式会社(本社:愛媛県松山市)に、耳付き手漉き和紙の印刷にご協力いただきました。 同社は吉田工場(愛媛県宇和島市)をデジタル印刷工場としており、多種多様な印刷商材を扱っています。
余談ではありますが、10色の糸を使った刺繍機。 同社はこれも「印刷機」と位置付けて「10色の印刷機」として扱っており、その広い視点に大変刺激を受けました。
こちらがフラットベッドタイプのUVインクジェットプリンター
「JETI MIRA 2716 LED」(AGFA社製)。
佐川印刷吉田工場の事業部長である山中さんと比較するとその大きさが伺えます。
JETI MIRA 2716 LEDで印刷
フラットベッドタイプのUVインクジェットプリンターで実際に耳付き手漉き和紙に印刷していただきました。絵柄は右の浮世絵、葛飾北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」です。
和紙は愛媛県南予地方で製造されている和紙を使用。色の再現や和紙の毛羽立ち対策など、様々な検証を重ねて印刷してくださいました。
印刷完成です。
耳付きの手漉き和紙の風合いがありつつも自然で発色の良い印刷になっています。ちなみに、この印刷機だと和紙の耳部分まで印刷できるそうです。
JETI MIRA 2716 LED その他の事例
今回の耳付き手漉き和紙とは別に、フラットベッドタイプのUVインクジェットプリンターで印刷した “Eのさかなカレンダー”を見せていただきました。
遠くから見ても存在感があり魅力的な印刷。
UVインク技術を活用した2.5D厚盛プリントです。魚特有のツヤ感やぬめり感、ザラザラ感や凹凸感を再現している、“観て、触って、楽しめる”カレンダー。
この全ての表現が「JETI MIRA 2716 LED」でできるそうです。
こちらの“Eのさかなカレンダー”と同じ特殊印刷を施した「Japanese Fishes Calender」(日本の魚カレンダー2020年スペシャル版)は、世界的なデジタル印刷のFESPAアワード2020で金賞を受賞しています。https://www.sakawa.co.jp/info/fespa_awards_2020
世界に誇るデジタル印刷技術ですね。
ご協力いただいた佐川印刷株式会社の皆様、ありがとうございました。
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